■すべてを背負ってそれぞれの物語を踊れ---日本人の監督×戦禍のウクライナ・バレエ×ロシア育ちの振付家

2024-12-26

ballet

 NHKでやっていたウクライナ国立バレエ団の番組。。

実は日本人の寺田宜弘さんという方が芸術監督をされていて、いまのウクライナでできることを考え抜いて実行されています。これをチャンスとして、海外の人々の愛情の力をうけて新しい時代が生まれるときだ。。日本人でこういう方もおられるのですね。(参考→インタビュー記事。バレエ団の現状、外国人だからこそ果たせる役割がある、というお話も。元団員の人も戦闘で命を落とした方もいるそうです。)

ダンスの世界でも、WDC/WDO系のイゴル&リカはキーウにとどまって子供たちを教えていますが、空襲警報で地下に避難したりといった日常もSNSで発信しています。またウクライナを離れて別の国を拠点にする選手も多いですが、試合になると国旗を振って団結して応援しあっている印象。

バレエの世界でも、ウクライナにとどまる人、海外に行く人がいます。それぞれの思いや葛藤があるようで、大変だなと思います。芸術監督の寺田さんもそのあたりのこと、分断なども日本人だからこそできると努力されているそうです。

また、今回取り上げられた振付家ラトマンスキー氏はソ連時代に子供時代を過ごし、ロシアで活躍していたそうですが、戦争がはじまり国を後にしました。それまで振り付けていた自分の作品もロシアのバレエ団に公演しないように申し入れたそうなのですが、上演され、しかも振付家の名前も消されてしまったのだとか。しかし今、大げさな表現のロシア流とは違ったもの、単純な感情表現ではなく、動きに感情がにじみ出るような表現をすべきだという思いを深めるようになったそうです。

また、ソ連時代は「どうせ何も変わらないから黙っていよう」という特殊な育ち方だったが、ソビエト崩壊の頃皆が意見を言い出したのが印象的だったそうです。人々はお互い異なる意見があり尊重しあう、そのことの意味を実感したのでしょう。

ロシアの作曲家チャイコフスキーの作品などは今は封印されているし、戦禍もあり、ダンサー達も「今は不自由だ」と吐露していました。いろいろ背負うのではなく、踊りそのものをしたい。。しかし振付家は声を掛けます。戦火の中をとどまって生きてきた自分のすべてを背負って、それぞれの物語を踊れ、と。それぞれの物語、そう皆にある。。

[NHKスペシャル] “それぞれの物語を踊れ”ロシア生まれの振付家×戦禍のウクライナバレエ | 闇からの飛翔~ウクライナ国立バレエ~ | NHK

ところでNHKはこのところ割とバレエの比率が高いような(とクラシック音楽好きの人が言ってた)感もあるのですが、こうしたドキュメンタリーは重みがあり、私たちに多くのことを教えてくれます。それにしても、ウクライナ、競技ダンスも多いのにな。。

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