選挙や大リーグのワールドシリーズ、日本シリーズ、ラグビーのNZ戦などなど、週末はTVを見まくってしまいました。
さて、以前WDSFにいたフランチェスコ&デボラの美しいクィックの動画があったので貼っておこうと思います。
たまにダサ/オモロ系か?!と思うような派手目なクイックを踊る人もいたりするWDSFの中にあっても、なめらかで抜群のフロアクラフトで踊っていた彼ら。 やはりとても上手です。
Galuppo & Pacini | IDSF IC 2024 Adult Open Standard R6 Quick Step
彼らは現在DSH(Dance Sport Heritage)という団体に属しているようです。
(社交・競技)ダンス業界は日本国内もいろいろ団体が分かれているのですが、これも世界情勢を反映した面もあるそうで。。
現在私が把握している世界のダンス団体は、変遷からして大雑把にこんな感じ。
①WDC
もとからある団体。プロがメインだったが近年はアマチュアも拡充。
②WDSF
プロがメインのWDCのアマチュア部門が分離独立し、と、当初は割と協調していたアマチュア団体。しかし、オリンピックを目指すという新方針をたて対立するようになった。その後WDCもアマチュア部門(WDC-AL)を拡充したし、WDSF側もPDというプロ部門を作ったそう。
*ドロンさんに教えていただきました!
もとから別団体だったそうです。
当初はうまく役割分担といった感じだったようですが、方針・目的意識が変わり対立するようになってしまったみたいです。
・プロを統括する組織(cf.wikipedia)
ICBD(International Council of Ballroom Dancing、1950年設立)
→WD&DSC(World Dance & Dance Sport Council、1998~2006)
→WDC(World Dance Counsil)
・アマチュアを統括する組織(cf. wikipedia)
ICAD(International Council of Amateur Dancers、1957年設立)
→IDSF( International DanceSport Federation、1990年改名)
→WDSF(World DanceSport Federation、2011年改名)
詳しくは→ドロンさんの記事 をぜひ!!
③WDO
WDC/AL(アマチュア部門)の運営上の問題をめぐって分離した団体。その後さらにレジェンドやプロ選手も賛同し、大きな団体になっていったようです(田中先生のブログ等ご参考)。
2022のブラックプールの運営問題等でさらに対立激化、WDCの重鎮ドニー・バーンズ氏(元ラテンの最強チャンピオン)が渦中にあったためなのか、特にラテンのトップ選手はWDC系かWDO系かに分かれてしまっているようです。
④DSH
WDSFから分離した団体。チーム・ディアブロというイタリア系の育成団体?がメイン。今回第4の団体としてみたのは大体こんな変遷があったからなのですが。。元WDSF系の有名選手がいて、
・マスター部門(≒プロ)
ラテンにガブリエル・ゴッファ―ロ&アンナ・マチュス
・オープン部門(≒アマチュア)
ラテンにアーメン・ツァトリアン&ドミニカ
スタンダードに上記に取り上げたフランチェスコ&デボラ など
といった感じ。日本の菅原一樹&ラウラ・コラヴィッア組も10ダンスで活躍しているようです。
①~④でそれぞれ試合をしていて、分かれている感が強いです。
それぞれの団体が「世界選手権」みたいなのもしているし、いろんな部門があるので、世界チャンピオンがいっぱいいます。
でも、①のWDCと③のWDOはスタンダードの選手は割と両方出ているみたいです。またUK Openやロンドン・インターといったのビッグコンペ(*)では、スタンダードもラテンも①③両方の選手が出て競技しています。
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*WDC/WDO系の3大コンペ(いずれも英国で開催)はUKオープン(1月)、ブラックプール(5月)、ロンドン・インター(9月末ごろ)。
このうちUKオープン(1月)、ロンドン・インター(9月末ごろ)は、個人の素封家が主催だそうで、今でも①③の選手がともに出場。
一方5月のブラックプールは①③が分かれ、
●WDC系のブラックプール(従前からあるものだが、主催や運営の問題等からWDO系が出ないようになってしまった。おおむね5月後半開催)
●WDO系のThe Open Worlds(場所はブラックプールだが違うホールで大体5月前半に開催。レジェンド、キリック氏が主催。The Openと短く言われることも)
という別のコンペを開いている。選手はもちろんジャッジもこの影響を受けている(特にラテン)。
にしても、いろいろ込み入っていて、簡潔に書いてみたいと思うものの難しいですね(また何か違ってるかも。。)。
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またアマチュア選手は①②③(④も?)のどれも出ている人も多くはありませんが、います。
まあ複雑なんで、youtubeでもアメリカの人が「WDCのほかにWDSFっていうのがあるみたいだけど何が違うの?」みたいな話があったりで、多くの人が混乱しているのかな、分かりづらいです。
でも日本はダンス界のウィキペディア的存在のドロンさんのようなブロガーもいらして、この辺りも逐次解説・整理が行われているので、わりと理解が進んでいるのかな、とも思います。
(ドロンさんのDSHについての記事→解説記事 ほか)
なぜこのように分裂してしまうのか、、理由を5つ推測してみました。
(1)ジャッジ(試合判定)への不満
採点競技だし、人が付ける判定なので、どうしても派閥・政治なども反映されやすいという事情。フィギュアスケートも以前はやはり全体の印象でつけていてもめましたが、今は「3回転成功で●●点」などと技でも点を決めてます(それでももめる)、、けれどそれもできないし。WDSFなどは音楽性など様々な観点で数値化等していますが、それも人間が付けている点数なんで、やはり人によっては納得できないことがあり得ます。
(2)運営面の問題
上記にも少し書きましたが、2022年ころからWDCやダンス界の屈指のイベント、ブラックプールの運営を巡って、多くの人が対立、激化。その後も他団体に近づいてみたり、遠ざかったりなどもある。
(3)ダンスの目的、目標への意見相違
WDSFがオリンピックを目指し、よりスポーツとしての競技性を打ち出したのに対し、より芸術面等を重視する立場のWDC/WDOなど。
やはりオリンピック種目になると世間の注目高くなりスポーツとしてのステータスも上がりますが、それはダンスの目指すものではないのでは、という意見もあるようです。ただ実際オリンピック種目にはブレイキンは採用(2024パリ五輪、ただしその次は不採用)されましたが、いわゆる競技ダンスはまだ採用されていません。
(4)国際情勢などの影響
ロシアのウクライナ侵攻等で、出場問題が。。ロシアに近づく人、ウクライナを応援する人などの影響もありそう。
(5)経営等のプロでない人が運営
他のスポーツの団体でもありがちですが、その競技で実績を上げた人が理事みたいのになって組織運営をしていること。。ダンスでも以前のチャンピオンやファイナリストなどが役職についたりしているのではないでしょうか。。
経営等の能力やセンスがあれば、団体間で不毛な争いをするより、もっと建設的になり、収益が上げることや、注目やシェアを広げることを進めらるのでしょうが。やはりダンスしか経験がないとこの辺りは難しいかなと思います。やはり競技者というのは、自分が最も優れていているとアピールし競ってきたのですし。。
業界のことをよく知りつつも、ビジネスの経験や能力のある人を入れていくことができるといいのになと思います。
まあ他にもいろいろあるのかもしれませんが。。日本国内もさらにいろいろ分かれているみたいでこじれているようです。
ただ他のスポーツや競技との競争、シェアの問題などで考えると、ダンス業界が割れているのは競争力を下げてしまい得ではないと思います。それは分かっているけれど、、どうにもできないところが問題なんでしょうね。。
結局のところ、ダンスの観戦者としては、
A:ダンス自体の競争以外のこと、団体間闘争や派閥争いも含めて、戦いを見る
B:順位等も含めあまり諸処のことは考えず、ダンスそのものの良さを楽しむ
の2つのスタンスを適宜取りながら、ということになるのかなと最近は思います。
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