■ジャッジの難しさ

2024-06-10

latin standard



審査については、まだ勉強中ですが、最近知ったこと、感じたことをメモしておこうと思います。

■体操競技にはAIが導入
スポーツ・競技の勝ち負け、順位は
 ・野球やバスケのように得点で勝敗が決まるもの
 ・陸上や水泳のように記録で決まるもの
もありますが、体操は長年人の目で審査される採点競技ため、技の成功可否や加点・減点等で批判が出たりもめることも多かったそう。
高速の回転や微妙な角度など目で見る限界もあるし手書きで技名や点数の書きとめ、集計等アナログなため、どうしても誤審騒動なども。。

しかし最近知ったのですが、いまやAI採点支援システムが導入され、レーザー等でデータ測定、3D化、角度や回転数などを判定し、審判員の判定を支援する、といったシステムになっており、選手等からも公平性、透明性といった点からも好評だそうです。すごく進化しているんですね。


■ダンスはやはり主観的
体操は●回転で〇点などの基準もあるのでそもそも客観的な要素がありますが、同じく採点競技とはいえダンスはそうではないのでやっぱり主観的なものになってしまいます。
WDSFのファイナルはオリンピックを意識してか様々な要素を点数化しているようですが、それも個々の感じ方・判断を数値にしたものにならざるを得ず。。そして意外と順位も固定気味だったりで不思議だな、という感じ。

WDSF、WDC・WDOも予選までは、ジャッジが良いと思う選手にチェックを入れ、その数で上位の予選等に進めるかが決するのですが、2分前後の短い時間で大人数をみるので、見落としがあったり、ファイナリスト・セミファイナリスト等名の知れた選手の方が通りやすいという面があるそうです。

日本選手もこの辺りで落とされてしまうことも多いみたいですが、国際試合に積極的に出て顔と名前が知れていることがある程度要求されてしまうので、欧州での試合がメジャーな現在、遠い日本からの参加も大変なのでちょっと不利かな。。日本のClosedの試合に沢山出ていても、国際試合には結び付きにくいというか。。せめて日本で行われるOpenな国際試合には、あまり団体を問わず出場して(できるようにして)、ビッグコンペのジャッジの目にとまるようになるといいな、と思いました。


■アジアの選手
中国や韓国等は育成体制が良く、良い選手も増えてきているようです。同じ東アジアで欧米も遠いですが、トップクラスの選手は海外遠征も多いようす。そうでない人も海外キャンプに行ったり、自国で様々なジャッジを呼んだ試合、キャンプを積極的に行って”目に留まる”ようになっていますよね。また、現役のトップクラスや注目選手を呼んだ練習会・キャンプも行われていて、「世界を感じる」ことができるみたい。

ジャッジも人間なので、講習をしていて、より多く接する選手、たくさん来てくれる国などはあまり無下にできないと思います。日本はそのあたりもちょっと弱いのかな。。


■ジャッジも人
審査はもちろん厳正に、と心掛けられているとは思いますが。。
UKの結果を受けてか(ゴッゾーリの低い判断、結構ざわついた模様)のドゥーサン&ヴァレリアのThe Open忌避などもあり、ごたつくことは今後もないとは言えないでしょう。
公平性、納得性の確保は難しいのが実情、そうかといって数値化も難しいので、このままの状態が続くと思われます。

このあたりをどう攻略していくかは選手それぞれ。。ジャッジのやっている講習に出る、より多くの試合に出る、観客の支持を得るなど。。


■ジャッジの傾向、それぞれ
審査の結果は、順位という形で分かりますが、WDSFのサイトやEasy Comp(英国のWDC・WDOの試合の一部)といったサイト等で各々のジャッジがどんな評価をしたか知ることができます。とくにWDC・WDO系はジャッジが順位をつけるというものなので、本当に人それぞれです。傾向も分かると思います。


■WDOプロ・スタンダード世界選手権の講評
先日WDOのプロ・スタンダード世界選手権の講評が出ましたが、これもLyn Marriner女史によるものをAmanda Dokman女史が掲載(インスタで見ました)したものなので、やはりそれぞれ立場もあるわよね、、などどと思ったり。

例えば
2位のドゥーサン&ヴァレリアには
They have a unique style which is charismatic and beautiful and draws you in to their dance and emotion.  Their best dance was Tango and here they showed wonderful character and strength throughout. On this occasion overall however, I feel they could have displayed a little more lightness, especially in Quickstep and Viennese.

(deeplの翻訳)
カリスマ的で美しく、ダンスと感情に引き込まれるような独特のスタイルを持っている。 彼らのベストダンスはタンゴで、ここでは終始素晴らしい個性と力強さを見せていた。しかし、今回は全体的に、特にクイックステップとウィーンで、もう少し軽やかさを見せることができたように思う。

私もそうかもねという気もしましたが。。

訳には抜けているけれど英語の3行目I feelとあり、リンさんの個人の見解ということになると思います。
実際ジャッジの中にはドゥーサン達に1位を付けた人もいるので、人によるということになるかと思います。


中国選手も上手い選手が増えていますが、講習の人数(Dokmanキャンプは中国勢が大半)やスポンサー等でかなり存在感があることもあり、私などには割とポジティブな書きぶりが多いかな、という印象。

Jianan & Jiaci 組にも
I feel this couple are very underrated. They possess great artistry and skill, they don't always have the perfect position but when you look past the "picture".; there is an abundance of understanding and display of technique and quality. Very slick and rhythmical, with excellent musicality; I'm sure their breakthrough is imminent.

(deeplの翻訳)
このカップルは過小評価されていると思う。彼らは素晴らしい芸術性と技術を持っており、常に完璧なポジションをしているわけではないが、「絵」を通り越して見ると、そこには豊かな理解とテクニックと質の高さがある。非常に巧みでリズミカル、そして優れた音楽性。彼らのブレイクは近いと確信している。


今回準決勝に沈んでしまったミハル&サンドラは、多分アマンダさん達は結構気に入っていると思われるジャッジをしていることが多く、やはりちょっと同情的な感じ。。
Would surely be bitterly disappointed not to have made the final. They have tremendous flight of movement and all with so much power and ease. There is a considerable display of action through the feet and ankles.  If they can gain consistency over every performance, they will enjoy a very successful future.

(deepl翻訳)
決勝に進めなかったことは、きっと悔しいだろう。彼らはとてつもない飛翔力を持ち、すべてがとても力強くて簡単だ。足と足首を使ったアクションはかなりのものだ。 すべての演技に一貫性を持たせることができれば、将来は大成功を収めるだろう。

しかし、BPFのファイナルも去年は確かすべて上がったのに、なぜか今年は1種目と厳しい結果に。ジャッジによって感じるものが違うのだなと思いました。彼らもアマチュア時代から活躍し、名の知れた選手なのに。。厳しい世界です。


今度日本インターで来日するマディス&リイスは、リイスがWDC・WDOで活躍していたものの、マディスは他のYounger professionalsと違って、別系統の団体WDSFからターンプロしたということで、やや厳しめに評価されている感も。
5月ブラックプールの前哨戦までは他のYounger Professionalsの下にジャッジされることが多かったのですが、マジェスティックのタンゴ等が非常に良く、観客の喝采も大きかったためかその後、The Open等 からは逆転しつつあります。
そのせいか、タンゴは良いけど。。みたいな書きぶりも、ここではされていますが。。もともとWやSFで鳴らしていたし、すでにVW、Qなどは評価が高まりつつあることもあり、彼らのポテンシャルからするとタンゴ同様に時間の問題かなという気も。。。

When this couple dance, I find it difficult to look away. They have fantastic choreography and flare. There is definitely a bright future ahead of them and if they work on a fullness of action in the "swing" dances, this will help to further their maturity in the professional ranks.

(deepl翻訳)
このカップルが踊っていると、目が離せなくなってしまいます。彼らは素晴らしい振り付けとフレアを持っています。彼らの前途には間違いなく明るい未来があり、もし彼らが「スイング」ダンスのアクションに全力で取り組めば、プロとしてのさらなる成熟につながるだろう。


他の選手への書きぶりもなかなかに興味深いです。

ダンスの順位はその性質上、納得いく人といかない人が出てしまうものですよね。順位ででた結果は”絶対”的なものなのでしょうが、その内実は色々だということが分かりました。
そうなるとますます自分自身の感性を信じて観戦するというのはアリだな、と思います。

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